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佐賀地方裁判所 昭和58年(ワ)131号 判決 1985年6月11日

佐賀県小城郡<以下省略>

原告

右訴訟代理人弁護士

筒井夫

福岡県太宰府市<以下省略>

被告

右訴訟代理人弁護士

上田正博

主文

1  被告は原告に対し金二〇〇万円およびこれに対する昭和五七年八月三一日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  この判決は仮に執行することができる。

事実

一  当事者の申立

1  原告

主文1・2項と同旨の判決および仮執行宣言を求める。

2  被告

請求棄却、訴訟費用原告負担の判決を求める。

二  当事者の主張

(請求原因)

1  被告は、アメリカのニューヨーク・マーカンタイル取引所における商品(ヒーティングオイル)の先物取引についての受託業を営むコイヤル貿易株式会社(以下訴外会社という)の営業部次長である。

2  原告は、木工製品販売業を営み、これまで商品先物取引をした経験はなく、商品先物取引には無知の状態であった。

3  原告は、被告の勧誘により、昭和五七年八月三一日訴外会社との間に前記商品先物取引について取引委託契約を締結し、同日その委託保証金として金二〇〇万円を同社会に支払った。

4  被告は右契約を勧誘するにあたり、原告が商品先物取引に全く無知であることに乗じ、商品先物取引は後記のとおり非常に危険な取引であるにもかかわらず、右危険性を開示せず、あたかも安全確実で有利な利殖の手段であるかのように説明し、「私は長いことこの仕事をやつているので、私に任せてもらえば損はさせません」などと嘘をいつて、その旨誤信した原告に契約を締結させて前記二〇〇万円を交付させたものであつて、右は詐欺による不法行為である。

5  訴外会社は、表向き海外商品先物取引受託業を営む体裁をとりながら、その内実は、原告のように無知かつ善良な市民から商品取引委託保証金名下に金員を騙取することを日常業務としていた。これは同会社が有機体としての企業活動において不法行為をなしていたもので、被告はその営業部次長として直接これを実行したものである。

6  原告は、前記のとおり金二〇〇万円を被告を通じて訴外会社に交付したが、原告不知の間に昭和五七年九月二三日付で決裁され、同社会の説明ではその清算残金は一〇六万七七八三円であるというが、その清算残金すらも返還しない。従って原告は右二〇〇万円全額の損害を受けたものである。

7  よって被告に対し右損害金二〇〇万円とこれに対する不法行為日である昭和五七年八月三一日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

(請求原因に対する被告の答弁および主張)

1  請求原因1項の事実は認める。同2項は不知。同3項の事実は認める。同4項は二〇〇万円の授受の点を認め、その余は否認する。同5項は否認する。同6項は二〇〇万円交付の点は認め、その余は不知。

2  原告主張の取引のうち被告が関与したのは最初の契約締結の勧誘行為と二〇〇万円の授受のみでその余の事実には関与しておらず、訴外会社およびその幹部か原告に対していかなる行為をしたかはほとんど知らない。原告その他の客を欺罔して金員を詐取するなどの共謀をした事実はない。

3  被告は、訴外会社の代表者からの説明等により同会社がアメリカの商品取引所の正会員であると信じ、同会社に絶大な信頼をよせて就職し、その業務に従事した。

4  被告は、委託者に利益をもたらし喜ばれる商品取引をすべく、永年の経験によりあみ出した被告独自の取引仕法を原告その他の顧客にすすめてきた。その方法は顧客の資金のうち最初はその半額を投資し、その残りの半額はその相場の推移を待って使用を考えるものである。損が生じたときは追証を出して値の回復するまで頑張って利益を目指し、益が生じるときは更に建玉をして益金の拡大をはかるというやり方である。これはいわゆる玄人筋の仕方で相場における最も堅い方法といわれているものである。被告の取扱った客は右のような細心な方法を採ったので皆利益を生じていた。結果的に原告が損害を受けたのは、訴外会社の指示により原告への営業担当をかえられたからであり、原告の損害の発生はそれ以後のことである。

5  被告は、原告ら客に対し一年で一〇割の利益を目的とすると言明したことはあるが、これはあくまで目標であって、客と協力してそれを得るよう努力するが、それに達しないときは取引を止められてもかまわないという趣旨であり、元本保証とは全く類を異にするものである。

6  被告は、原告ら顧客に対しては相場取引の危険性を考えて慎重かつ誠実にその業にあたっていたもので、原告に対する違法性は全くない。

(被告の主張に対する原告の答弁)

被告の主張は全て争う。

三 証拠関係

本件記録中の証拠関係目録記載のとおりであるからこれを引用する。

理由

一  次の事実は当事者間に争いがない。

1  被告は、昭和五七年八月当時アメリカのニューヨーク・マーカンタイル取引所における商品(ヒーティングオイル)の先物取引の受託等を業として営む訴外会社に営業部次長として勤務していた。

2  原告は、被告の勧誘により、昭和五七年八月三一日訴外会社との間に前記商品先物取引について取引委託契約を締結し、同日その委託保証金として金二〇〇万円を同会社に支払った。

二  成立に争いのない甲第一、二号証、第三号証の一、二、証人A、同B、原被告各本人の各供述によれば次の事実が認められる。

1  訴外会社の営業部次長である被告は、昭和五七年六月ごろ第二次世界大戦での戦友であったA(原告の叔父)が佐賀にいることを知り、同人を介して前記先物取引の受託契約の顧客を獲得しようと計画し、右A方を訪れ、まず同人に対し前記先物取引をやらないかともちかけたが、同人が資金がないからといって断ると、それでは誰か客になる者を紹介してほしいと依頼した。そこで同人は原告の父であるBほか一名を紹介してやった。

2  昭和五七年七月九日被告は前記AとともにB方を訪れ、同人に対し前記先物取引をやるように勧め、自分は九州でも指折りの相場のベテランである、絶対に損をさせない自信がある、もし失敗したら生死を共にした戦友であるAとの間がまずくなる、そういうことは絶対にさせない、少なくとも一年間待ってもらえば必ず倍にしてみせる、などと申し向けて勧誘した結果、右Bは右被告の言を信用して訴外会社との間に前記先物取引委託契約を締結し、委託保証金として金二五〇万円を被告を通じて訴外会社に支払った。

3  その際、被告は右Bに対し、相当な謝礼を支払うので他にも投資する客を紹介してほしいと依頼し、Bは知人ら数名を紹介し、被告はこれらの客に勧誘してその五名との間に同様の契約を締結させて合計約五〇〇〇万円の委託保証金を集めた。

4  次いで右Bは自分の子である原告を紹介したので、同年八月三一日被告は右Bを伴って原告方を訪れ、原告に対し、本件先物取引を勧め、自分はこの道のベテランであり、自分に任せてもらえばほとんどもうかることはあっても損をすることはない、一年間で倍くらいにはなる、父Bの紹介で多額の契約をしてもらった、そのような会社の功労者の息子だから決して悪いようにはしない、安心して任せてもらいたい、などといって勧め、またBも、被告に任せていたら利益が出た(当時訴外会社の帳簿上では若干の利益が出た状態であった)、被告に任せておけば間違いなかろう、などと口添えしたこともあって、これまで先物取引の経験も知識も全くなかった原告は被告の言を信用し、これが安全で有利な利殖方法であると考え、本件先物取引委託契約を締結するとともに委託保証金として金二〇〇万円を被告に交付し、翌九月一日右金は訴外会社に納入された。

5  訴外会社の原告の個人別勘定元帳等によれば、その後右取引は一回行われ、同年九月二三日決裁の結果九三万二二一七円の損失が出たとされている。しかし原告の再三の請求にもかかわらず、訴外会社は前記保証金二〇〇万円から右損失を差引いた残金一〇六万七七八三円についても全くこれを原告に返還しない。

6  同年九月一八日訴外会社の社長C、店長のDが前記B方を訪れ、右Bおよび原告に対し世界情勢の変化で大きく損失が出て大変なことになっている、こういう難局を乗りきるには、口八丁手八丁の口から出まかせな被告には任せてはおけないので、今後は社長や店長である自分達があなた方を担当することにした、現在の取引は損失が出ているので一応打ち切って、会社のため功労のあったあなた方(前記のとおりBの紹介で多額の契約ができたことをいう)には特別の措置で、現在会社のやっている既に利の乗った玉を回すことにするから損が出ることはありえない、万一損失が出て追証拠金が必要な事態になれば、それは会社が負担するから、さらに追加の投資をしてもらいたい、などといってさらに追加の委託保証金を出すよう勧誘し、右Bと原告は、すでに出ている損失を回復しなければならないという気持ちもあって、右社長らの言にしたがい、さらに後日六〇〇万円くらい出すことを約束した。

7  ところがその数日後、今度は被告が、国際情報企画という会社の常務と称するEと同社の社長の兄と称する者を伴つて原告方を訪れ、訴外会社の社長や店長のやっていることはでたらめである、彼らのやっていることには種々不信な点がある、預かっているあなた方の金をまともに扱っているとは思われない、そのように何をやっているか分らんような会社に金を渡してはいけない、今まで預託している金が戻らないだけでなくBの紹介して集めた金や損失金なども含め一億円くらいの責任を負わなければならないことになる、それを救えるのはわれわれしかいない、われわれが訴外会社との問題を解決してやるから任せておきなさい、などと申し向けた。原告親子は非常に驚き、訴外会社からの追加出資の要求には一応口実をもうけて断わり、訴外会社との問題解決(原告親子やBの紹介した客の預託した保証金の取戻し)を被告や国際情報企画にまかせることにした。そして国際情報企画に入社した被告から、同会社の取扱っている香港の砂糖市場の先物取引を同様に確実にもうかるようにいって勧められたが、原告ら親子はもはやこのような話に懲りて、取引はしたくないと思っていたが、前記のような莫大な責任を被らなければならないとおどされ、なんとか訴外会社との問題を解決してもらうためにはやむをえないと考えて、これを承諾して委託保証金六〇〇万円を交付した。しかし右取引は結局一〇〇万円ほどの損失に終り、一方訴外会社との問題は解決されず、預託金は全く返ってこなかった。

8  被告は、訴外会社を辞め国際情報企画に移ったいきさつについて次のように説明している。すなわち、昭和五七年九月中旬ころ訴外会社の社長と店長から、被告が佐賀の客らから前記のとおり五〇〇〇万円くらいの金を集めたが、あと一億円くらいを自分たちが勧めるから、被告は佐賀に行かないように、といわれ、原告ら佐賀の客に対する担当を解かれた。ところが社長らはこれらの客に対し、今利益の出ている会社の玉があるからこれを回すので確実に利益が出る、などと会社ができるはずのないことを約束して金を集めようとしていることを知り、さらに社長と店長から、訴外会社は今から一年さきくらいに別会社を作ろう、そのために一億円から二億円くらいを集め、そのうち六〇〇〇万円を設立資金にあて、委託者に支払うための資金を若干残し、あとは社長、店長、被告の三人で二〇〇〇万円くらいずつを山分けしようというような話をもちかけられ、社長らのやっていることが怖くなり、同月二〇日ごろ訴外会社を辞めると同時に国際情報企画に入社する手続をとるとともに、原告ら佐賀の客らに対し、今後会社から金を出すようにいつてきても出さないようにいつてまわったものである、という。

以上の事実が認められ、被告本人尋問の結果中右認定に反する部分は措信できず、他に右認定を覆すに足る証拠はない。

三  成立に争いのない甲第五、六号証、第八号証の一ないし一一、第一一ないし第一七号証、第二〇号証の一、二、三、第二一ないし第二三号証、原本の存在、成立ともに争いのない甲第一八ないし第一九号証、被告本人尋問の結果によれば次の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

1  一般に商品先物取引は売買代金の何分の一かの少額の証拠金をもって売買取引がなされるため(逆にいえば預託した証拠金の何倍もの価額の商品の売買をすることになるため)、わずかの相場の変動によっても預託した証拠金に比して多額の損失を被ることがあり、そのため当初預託した証拠金では不足を生じ追加証拠金を納入することが必要となり、その追加証拠金も全額損失となって戻らなくなることもあるなど、多額の利益をもたらすこともある反面多額の損失を被ることがある危険性の高い取引であり、とくに商品先物取引の知識や経験を有しない者がこれに手を出すことは極めて危険性の高いものである。

2  このような被害を防止するため、商品取引所法では種々の規制がなされ、とくに顧客に対し利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供して取引委託を勧誘すること(同法九四条一号)、損失の全部もしくは一部を負担することを約し、または利益を保証してその委託を勧誘すること(同条二号)、価格、数量その他主務省令で定める事項についての顧客の指示を受けないでその委託を受けること(同条三号、いわゆる一任売買)は禁止されている。

3  ところが右商品取引所法は国内市場の取引についてのみ適用があるため、海外商品市場の先物取引に関し悪質な取引業者が、顧客に対し確実にもうかると思い込ませるような詐欺的方法で執ように勧誘して右取引の委託をさせて被害を与える例が急増し、しかも右のような先物取引の経験、知識のない一般大衆がその被害の対象とされることが多く、昭和五七年当時すでに深刻な社会問題となり、新聞紙上でも取上げられるに至っていた。このような海外市場における先物取引に関する被害を防止するため昭和五七年七月一六日「海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律」(以下海外商品先物取引受託法と略称する)が公布され、昭和五八年一月一五日施行された。そして右法律においても商品取引所法とほぼ同内容の規制がなされるようになった。

四  以上の認定事実によれば、先物取引は極めて危険性の高いものであり、とくに海外商品先物取引では国内のそれと異なり、一般投資家にとって取引の判断資料となる相場の変動状況についての情報を知りうる手段に乏しく、その危険性は一そう高いのであるから、このような先物取引を勧誘する外務員としては、右のような先物取引の制度、仕組みを十分に説明、納得させ、その危険性を十分警告したうえで委託契約を締結すべき義務があり、いやしくも、これらの説明、警告をすることなくたんに利益を生ずることが確実であると誤解させるような勧誘をしてはならない注意義務があるというべきである。なお、商品取引所法、海外商品先物取引受託法は当時本件先物取引には直接適用されてはいなかつたが、同様の不当行為を禁止する規定の趣旨は、右各法律の立法趣旨、立法の経過等からすれば当然本件先物取引の勧誘をする場合にも類推さるべきである。

しかるに被告は、これらの知識、経験の全くない原告に対し、取引内容や仕組みについても十分納得させるような説明をすることもその危険性を警告することもなく、かえって自分に任せれば確実に利益を生じ、損失を生じることはないかのようにいって勧誘し、その旨誤信した原告をして、訴外会社との間に本件取引委託契約を締結させ、委託保証金として二〇〇万円を出損させたものである。これは、一つは利益を生ずることが確実であると誤解させるような勧誘をした点と、他は禁止されている一任売買を内容とするような委託の勧誘をした点において、前記注意義務に違反する違法な行為ということができ、民法七〇九条によりこれによる損害を賠償すべき責任があるといわなければならない。

なお、被告は、自分独自の取引方法によれば確実に利益が生じ、現にそのような方法で被告の取扱った客はみな利益がでていた、と主張する。しかし被告の主張する方法はその方法じたいから確実に利益を生ずるとする保証は何もなく、せいぜい大きい利益を生ずることも少い反面、大きな損を生ずることも少く、ひいては顧客に対する被害を与えることが少いというにすぎないと考えられ、また被告の扱った顧客がみな利益を得ていたという点についてもこれを認めるに足る確たる証拠はなく、かえって、証人B、原告本人の各供述によれば、原告親子をはじめ同人らの紹介により被告の勧誘した客は全員損失を出していることが認められる。したがって被告の右主張は理由がない。

六  また、被告は、原告ら顧客から多額の保証金を預託させるのであるから、これを預るべき訴外会社が果して信頼に値する会社であるかどうかを調査、確認すべきであり、被告本人の供述によれば被告は国内、国外の商品先物取引において二〇年以上同種の業務に従事してきたベテランであり、訴外会社の営業部次長という地位からすればその調査確認は容易にできたと思われ、被告が供述するように社長や店長らが顧客の預託金の横領を企画するようなずさんな会社であるとすれば、容易にこれを知りえたと思われる。しかるに、被告本人の供述によれば、訴外会社の案内用のパンフレット(甲七号証)や社長から、わが国では三社しかないニューヨーク市場の正会員であるといわれ、訴外会社が有数の立派な会社であると信じたというが、右パンフレットによれば海外商品市場の取引を扱うようになって一年半余りにしかならない会社であり、しかも正会員になったという時期は海外商品市場を扱うようになってわずか半年余りにしかならない会社であり、しかも正社員になったという時期は海外商品市場を扱うようになってわずか半年余りであるというのであって、福岡に本社を有するこのような小規模な会社がそうたやすくニューヨーク市場の正会員になれるとはとうてい考えられない。また訴外会社の使用している売買取引委託契約書用紙(甲第一四号証)には、訴外会社は「その外国商品取引所に所属する会員業者を通じて」取引を行うものとすると記載されており、訴外会社が正会員でないことは明らかであり、ベテランである被告が前記のような社長の言をたやすく信用したとはとうてい考えられず、むしろ右の如き虚偽の内容により顧客を欺罔しようとする訴外会社の体質に疑問を抱くのが当然である。

また前記のように海外商品市場に関する悪質業者の横行が社会問題とされている時期でもあり、被告としては自己の担当する顧客の注文が確実にその海外市場に通されて取引されているかどうかを十分に確認すべき義務があり、被告の経験や営業部次長という地位からすれば容易に調査確認できたと思われ、これを防げるような事情は何も認められないのに、被告本人は全くその必要はないと思って調べようともしなかったと供述しており、前記のとおり顧客から高額の保証金を預託させて取引を勧誘する者としてあまりにも無責任であるというほかはない。

また、原告ら顧客は被告の言を信用して自己の貴重な資金を預託しているのであるから、被告のいうように、訴外会社が顧客の預託金の横領を企図し、利益はおろか預託金じたいも顧客に返還されないおそれのあることを発見した以上、会社側の一員として責任をもってなんとか預託金だけでも顧客に返還させるよう全力を尽すのが、被告を信頼して資金を預託した顧客に対する義務であると思われるのに、これを放置して、顧客には何の連絡もなく自分だけ会社を辞めて責任をのがれようとするなど、全く無責任であるというほかはない。

七  以上のとおり、被告は前記不法行為により原告に対し委託保証金として金二〇〇万円を交付させ、同額の損害を与えたものということができる。よって、右損害金およびこれに対する不法行為の日である昭和五七年八月三一日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、仮執行宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 網脇和久)

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